ミャンマーで暮らしたことのある、フランスの子どもの本の作家、パスカル・マレが、ミャンマーのむかしばなしをヒントに書いたお話。
むかしむかし、世界は、陸の国と、海の国、ふたつの国にわかれていました。
陸の王は、ライオン。とてもよい王さまでみんなに慕われていました。
海の王は、ドラゴン。らんぼうもので、みんながドラゴンのことをおそれていました。
ある暑い日、海に入ったライオンは、ドラゴンを怒らせ、決闘することになってしまいます。
ライオンのいちばんのけらい、かしこい金色のウサギは、決闘までの七日間の猶予のあいだに、ドラゴンを食べるという鳥ガルーダを探そうとします。
ついに八日目の朝、森じゅうの動物たちが集まるなかに、ゾウのように大きい鳥がのっそりと姿をあらわしました。
羽根は虹のように輝く、とてもはずかしがりやの大きな鳥。その大きな鳥を見たウサギが考えた作戦とは・・・?
絵本のなかの鳥たちが色彩豊かで、おまけに、帽子をかぶったりすてきな布をあたまに巻いたりしていることに目を奪われます。ほかの動物たちの衣類も、生地の色や模様がきれい。
フランスの若手イラストレーター、デルフィーヌ・ジャコが絵を描くことで、エキゾチックな雰囲気の絵本ができました。訳は、『ウェン王子とトラ』『この世でいちばんすばらしい馬』(徳間書店)などを訳した平岡敦氏です。
文章、絵、ともにフランス人によるフランス生まれの絵本でありながら、アジアの香りがするこの本は、フランスの子どもたちが投票して選ぶ賞「アンコリュプティブル賞」を2013年に受賞しています。
最後にはフランスの子も、日本の子たちも、聞いたことがあるかもしれない鳥の名前が登場します。伝承や童話にむかしから登場する小さな鳥ですよ。なんという鳥だか、想像がつきますか?
さて、そもそも虹色に輝く羽根の、はずかしがりやの大きな鳥はどうなってしまったのか、ライオン王とウサギはどうしたのか。結末をお楽しみに!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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