「とおくのほうで だれか ないている。ぼくは たすけに いかなくちゃ!」と勇ましく飛び出すアンパンマン。送り出すのはジャムおじさんとバタコさんと、めいけんチーズ。
そして深い森の奥で泣いているのは、カバくんでした。ちっとも泣きやまないカバくんに困っていると、歯ブラシに乗ったハミガキマンがあらわれます。その様子を岩陰から見ている、赤い目は……!?
やなせたかしさんが描く、初期のアンパンマン絵本。泣いている人がいると飛んできて自分の顔を食べさせる正義のヒーローが、アンパンマンの原点ですね。「アンパンマンが きたから もう だいじょうぶ。すぐ たすけてあげるからね」という言葉に、ほっと安心しちゃいますよね。
ところがこの作品では、それで「めでたし、めでたし」じゃありません。お約束の宿敵バイキンマンに加え、バイキンマンの口を虫歯だらけにする「ムシバラス」まで登場して大暴れ。もう、ドタバタです。いったい最後はどうなるの!?
1987年にやなせたかしさんが描いた、歯がズキズキしてきそうな、ユーモラスなおはなし絵本。初期のアンパンマン絵本として、「やなせたかしのあんぱんまん1973シリーズ」として刊行中の1冊です。
歯磨きトレーニング絵本としてもどうぞ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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『アンパンマンとムシバラス』
深い森の奥で泣いていたカバくん。原因が分からずアンパンマンが困っていると、颯爽とハミガキマンが現れて、カバくんをたちまち笑顔にしてしまいます。そして、涙の原因は…やっぱりバイキン!でも今回は、何やら違うバイキンもいるようです。
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アンパンマンが初めて絵本で登場したのは1973年、月刊「キンダーおはなしえほん」10月号でした。
その後、多くの絵本が生まれ、世界を広げていきます。
絵本『あんぱんまん』誕生50周年を記念し、未来に向けて長く読み続けていただけるよう、アンパンマンの原点となる絵本たちが新しくよみがえります。
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