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いえでもまちでも、見ない日はないかがみ。少女とかがみをめぐるふしぎなお話。恩田陸と樋口佳絵が描く身近にひそむ恐怖の世界。かがみを見るたびにこわさがよみがえる。
絵本というのは、なんとも幅広い世界を網羅する出版のジャンルだ。
この絵本は東雅夫さん編による「怪談えほん」で、絵本というのは子どもたちが眠りにつく前にお母さんが読んであげるというイメージがあるが、こういう怖い絵本を読んだら眠るに眠れないのではないかと思う。
それでも人気シリーズであって、すでに何冊も刊行されている。
しかも、書き手がすごい。
これまでにも宮部みゆきさん(『悪い本』)や京極夏彦さん(『いるの いないの』)などが執筆している。
そして、この本は恩田陸さん。
といっても、直木賞を受賞する前の2014年の作品ではあるが。
恩田陸さんの魅力は絵本に似たところがあって、さまざまなジャンルの作品を描けるとこともそのひとつだろう。
この絵本にしても「怪談えほん」というだけあって、とっても怖い。
鏡というもの自体、摩訶不思議なところがあって、それをたくみに使って怖さを演出している。
そこは絵本だから恩田さんの文章だけでなく、絵を担当している樋口佳絵さんの見せる怖さの要素も大きいのだが。
なんといっても、主人公の女の子が怖い。
鏡の中の女の子は当然怖いのだが、それ以上にこちら側の女の子の扁平な表情の方がもっと怖い。
もっともどちらがこちら側かそれはパラレルでもあるのだが。
女の子は家や学校という日常を逸脱しない。しないが、そこここに鏡の世界が広がっている。
日常ゆえの怖さといっていい。
今夜は眠れそうにない。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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