どんぐりまなこに太いまゆ毛とりっぱなひげ、まん丸な赤い体から手足がにょっきり。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』の発売以来、親子3世代にわたって愛され続けているのが、
かこさとしさんの「だるまちゃん」シリーズです。
てんぐちゃんをはじめ、かみなりちゃんやとらのこちゃん、だいこくちゃんにてんじんちゃんなど、代々登場してきただるまちゃんのお友だち。どこか日本の伝統を感じるようなキャラクターが多いのですが、7冊目となる本作では、なんとやまんばの孫娘「やまんめちゃん」が登場します。やまんめちゃんは健康的に日焼けしたとっても可愛らしい女の子なのです。
外で遊んでいただるまちゃんが、高くけりあげてしまったボールを探していると、
「これ、おめえのか」
女の子がボールを持ってやってきました。
女の子の名前はやまんめちゃん。山の上に住んでいるのだといいます。
風邪をひいたおばあちゃんのために薬となる草を探していたのです。
すたすた帰ってしまったやまんめちゃんですが、次の日だるまちゃんは、おばあちゃんのお見舞いも兼ねて山へ行ってみることにしました。
「やまんめちゃーん あそびにきたよー」
ふたりは、おはじきやどんぐりならべをしたり、木の葉でつくった鳥を飛ばしたりして仲良く遊びました。ところが、だるまちゃんが、がけの上から力いっぱい投げようとしたら、足元の石がぐらっとくずれて・・・あぶない!!それを見たおばあちゃんは!?
誰とでもすぐに仲良くなれるだるまちゃんの、その人懐っこさに心があたたまるお話です。
昔話に出てくるやまんばと言えば恐ろしい妖怪が多いのですが、かこさんは、自然に対して常に敬虔な態度で接している山家の人々をモデルとして描いているようです。とても優しい表情をしているおばあちゃん。でも、ひとたび危険を察知すれば、さっと厳しい顔になります。やまいぬたちを呼び出してだるまちゃんを救出する場面は緊張感にあふれています。
山の上とふもと。生活環境も生活も全くちがう家族がこんな風に交流できるのは、だるまちゃんの子どもらしい無邪気な行動のおかげかもしれませんね。
見返しにはやまんめちゃんがとっていた薬草の紹介や、ふたりが遊んでいた遊びの紹介ものっています!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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