タグボートというのは、港で働く船の中で1番背が高いわけでも、1番スピードが速いわけでも、1番大きいわけでもありません。でも、小回りがきくし、強力なエンジンを持っています。だから港では結構大忙しなのです。
この絵本の主人公タグも、小さいけれど、ほかの船がこまったときには大活躍!
ヨットが動けなくなったり、モーターボートのモーターが壊れたり、大きな客船がうまく港に入れなかったり、そんなときこそタグの出番なのです。
ほかの船を引っぱったり、押したり、案内したりして助けてあげることができます。
けれど、タグだって、夜になるとさすがにくたびれてしまうことがあります。
そうすると、今度は仲間の船が・・・?
洗練された線と色でシンプルに描かれた港、そしてそこで活躍する船たちは、時間とともに移り変わる空と海の色を背景に、表情豊かでとてもかっこいい姿を見せてくれています。その中でひと際可愛らしいタグが、あちらこちら動き回って働いている様子はなかなか頼もしいのです。だからこそ、お話の後半で仲間に見守られながら眠りにつくタグを見ていると、とてもあたたかく優しい気持ちになってきます。
のりもの好きな小さな子どもたちにぴったりなこの絵本、おやすみ前に読んでもらっても、気持ち良い眠りにつけそうですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む