絵だけでしりとりを進めていく「おえかきしりとり」。
お友だちと、家族と。ひまを持てあましている時にはぴったりです。
お母さんが意外に絵が上手なことを発見したり、何を描いているか誰もわからなくなったり。
どんなに下手でも大盛り上がりするのがこの遊びのすごいところ。
ではでは、絵がとっても上手な絵本作家さん同士で「おえかきしりとり」をしたらどんなことになるのでしょう・・・それは見てみたい!!
と、そんな夢のような設定が実現してしまったのがこの絵本なのです。
作者は、今大活躍中の若手絵本作家の4名。
新井洋行さん(『れいぞうこ』『いろいろ ばあ』『みずたまりちゃん』他)、鈴木のりたけさん(『しごとば』『ぼくのトイレ』『おしりをしりたい』他)、高畠那生さん(『カエルのおでかけ』『でっこりぼっこり』『バナナじけん』他)、よしながこうたくさん(『給食番長』『ぼくだってウルトラマン』『ようかいガマとの』他)。こんな個性的な4人がどうやって絵本を作り上げていったのでしょう。ケンカなどはしなかったのでしょうか。
そんな心配はさておき『おえかきしりとり』では、4人全員で話し合い、物語を作り、全員で絵を完成させていったそうです。驚くのは、本当に4人が順番にしりとりをしながら絵を描いてつなげていったということ!この果てしなく豪華な作業を経て出来上がったページには4人の絵がぎっしり。読者はその4人のしりとりのやりとりを追体験できる、というわけです。
最初は「しりとり」→「りんご」→「ゴリラ」→「ラッパ」→「パトカー」・・・と定番しりとりで始まります。ところがそんなに普通に進んでいくわけがないのは想像がつきますよね。徐々に難易度があがり、ひっかけも出てきて。二重の意味を持たせたり、前の人の絵を真似して続けたり、他の人の絵と合体してしまったり!? 作家さんならではの遊びがどんどん登場してきて、読者も一緒に気持ちが盛り上がっていきます。
さらに、それぞれの作家さんの見せ場として迫力の見開きページが登場したり、思いもよらない展開が待っていたり。絵本としてもちゃんと楽しめるようになっているのは、さすがなのです。
さあ、さっそく絵本を開いてみてくださいね。
一人でじっくり、お友だちや家族とワイワイ。想像力たくましく、しりとり物語を進めていってください。
前見返しにはしりとりのルール、最後にはしりとりの答えが描いてあります。読み終わったら、今度は自分たちで「おえかきしりとり」に挑戦してみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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『おえかきしりとり』は、数ある絵本の中でもとても珍しい、作者が「4人」いる絵本です。
しかも、単に誰かが書いた文にそれぞれが絵をつけたわけではなく、4人全員で話し合い、物語を作り、全員で絵を描いて完成させた「合作」です。
内容はいたってシンプル。「おえかきしりとり」というタイトル通り、しりとりをベースにした、絵を描いて言葉をつなげていく遊びを絵本にしています。
本編では、4人が実際に順番に絵を描いてつなげていったしりとりが、何ページにもわたって繰り広げられていきますが、読者はその絵が何なのかを当てながら、4人が行ったしりとりを追体験する、という構成で絵本は進んでいくのです。
一筋縄ではいかぬよう、だんだんと難易度が上がっていくしりとりの絵はひっかけも多く用意されていますが、たとえその絵がわからなくても、前後の絵が何なのかを当てることで、最初と最後の字がわかるため、そこをヒントに類推することも可能です。
さらに、「絵本作家」4人が作った絵本ということで、ただのしりとりだけではもちろん終わりません。しりとりのルールを逆手に取った、驚きの展開が、物語のクライマックスで登場するのです。
作者の4人は、『れいぞうこ』(偕成社)などの赤ちゃん絵本で多くのヒット作がある新井洋行氏、「しごとば」シリーズ(ブロンズ新社)で新たな絵本の可能性を提示し、第62回小学館児童出版文化賞を受賞した鈴木のりたけ氏、『カエルのおでかけ』(フレーベル館)で第19回日本絵本賞を受賞、独特のセンスが光るユーモア絵本で大人にもファンの多い高畠那生氏、「給食番長」シリーズ(好学社)で、絵本界に一石を投じ、子どもたちに絶大な支持を得たよしながこうたく氏と、一癖も二癖もあるラインナップ。この本でしか読めない、4人の豪華共演は、必見です。
しりとりそのものにも、ことば遊びとしての知育要素がありますが、それに加えて、本書は、新たな言葉を知る喜びや、「絵を見て答えを考える」という想像力が培われ、考える力も育まれる内容になっています。
また、家族や友だちと一緒に読むことでも、楽しさは倍増。コミュニケーションをとりながら、楽しく盛り上がれます。
子どものみならず、大人にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
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