ちょっと不思議なナンセンス絵本をたくさん描かれている山崎克己さん。
今度の作品は、やっぱり明るくて笑っちゃうんだけど、どこか人情味あふれるお話です。
おにぎりやタコジローのつくるおにぎりは、いい「しおかげん」だと大評判。
それに8本足でつくるから、お待たせしません。
今日は定休日。ゆっくり休んでいると、お店の前に消防署の署長さんが立ってます。
どうやら、おにぎりが買えなくてがっかりしているようです。
気の毒に思ってお店を開けてみるとびっくり! その署長さんはタコジローがたこ焼きにされそうになった時に助けてくれた命の恩人だったのです。
涙の再会を喜んだとあと、消防署におにぎりを届けたタコジローは、消防訓練に参加させてもらいます。
するとタコジロー、自分の墨を使って、誰よりも上手に火を消したではありませんか!
署長さんに「火事のときは、てつだってくれ」と言われ、喜んでお手伝いを引き受けることになりました。ウーウー カン、カン、カン。サイレンの音が聞こえれば、真っ先に駆けつけていくタコジローなのですが・・・。
目をランランとさせ、ヘルメットをかぶり、風のように消防車の所に駆けつけるタコジロー。
大火事に向かって勢いよく墨をはくタコジロー。
なかなか勇ましい姿です。
でも・・・おにぎりやは大丈夫なの?お客さんが待っているんじゃなかったの?
思わず心配をしてしまう読者の気持ちをよそに、タコジローより2本多い10本足でおにぎりをつくるイカシローのお店があらわれます。確かにビジネスチャンスなのです。なのにタコジローったら。
お人好しのタコジローの行動は、ちょっぴりハラハラするけれど、でもやっぱりみんなの心をあたたかくしてくれます。タコジロー、かっこいい!
見返しには、大評判のタコジローとイカシローのつくるおにぎりの紹介があります。こちらもお楽しみに。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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