ぼくが誕生日におばあちゃんからもらったのは、迷子の赤ん坊のきりん。
…そんなバカな!?
でも、ほんと。ぼくは「ウィリアム」って名前をつけて、部屋で一緒に過ごす。ぼくのベッドで一緒に寝て、一緒に食事をする。
ウィリアムは毎日大きくなって、天井に頭がつっかえるようになって、とうとうベランダに出されちゃった。ぼくはウィリアムが大好きなのに、ウィリアムはどんどん大きくなって、最近じゃ一緒にいられるのは足ばかりでつまんない。だって、頭は4かいにあって…。
なんだか「だいすき」って切ない。「だいすき」って儚い。ぼくの気持ちが痛いほど伝わってくる。でも、でもね。それだけじゃあないんだよ。ぼくは、ウィリアムが大好きだけど、夢だってみてる。それはね……。
ナンセンスな設定だけど。こんなのありえない!って思うけど。案外「だいすき」ってこういう事なんじゃないかな、って思えるから面白い。ギリギリまで「だいすき」を貫くのも素敵だし、ちゃんと最後には自分なりの距離感をつかんでいるのも感心しちゃう。
様々な形の「だいすき」をナンセンスな話に料理してしまう二宮由起子さんの「だいすきえほん」シリーズ。「でも」がいいよね。そして、高畠那生さんの描く「きりん」がすごくいい!大好きなシリーズです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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