マリーがスノーベアと過ごした忘れられない時間。
スイスで生まれた美しい冬のメルヘンです。
赤いマフラーが力強くたなびき、その上を、雪と氷の国からやってきた
白くまが気持ち良さそうに飛んでいるすてきな表紙。
清々しい風を感じながらわくわくする気持ちでページを開くと…。
ゆきいちごを積みに出かけたマリーが雪深い森でみつけたのは、
不思議な赤い冷蔵庫。そのトビラを開けるとあらわれたのは、
なんと、大きな白くまのスノーベア!
「いつも何を食べているの? どうしてこの森にいるの?」
マリーの質問に、スノーベアはやさしく答えてくれます。
「いい風がふいて来たら、空を飛ぶんだ…。」
スノーベアの話に、マリーは目を輝かせます。
そしてマリーが自分の夢をスノーベアに打ち明けると…。
静かであたたかい心の交流の物語を書かれたのはサイードさん。
イラン生まれでドイツに渡り、詩や散文の作家として活躍されてきた方です。
マリーネ・ルーディンさんによるのびやかなイラストにも
すっかり魅せられてしまいます。透明感ある美しい色彩には
あたたかい感情が満ちていて、雪景色すら明るくほんわかしています。
どのシーンにも風が感じられるのもこの作品ならでは。
マフラーが生きているように風になびく描写がすてきなので、
ぜひご注目くださいね。
最後、スノーベアはマリーのマフラーをどうするでしょう。
胸がきゅんとするラストが待っています。
個人的には、最後の言葉のない見開きが大好きになりました。
みなさんはどのシーンがお気に入りになるでしょう?
(長安さほ 編集者・ライター)
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