「忘れていないし、なくしてない。
消えちゃったんだ!」
ある日、ヨナタンの
赤いスリッパが消えた。
ヨナタンとパパとママは家中をさがしまわったけど見つからない。
不思議なことに家の中の大切なものだけが次々となくなるのです。
緑色のマグ、クマのぬいぐるみ、パパのめがね、ママのマフラー。
これはさすがにおかしいぞ。まさか家に泥棒が・・・?
「だったら、つかまえなくちゃ!」とヨナタン。
パパの帽子と大きなコートをはおれば気分は本物の探偵みたい。
名たんていヨナタンは虫めがねを片手に、相棒の子犬ビバと一緒に泥棒さがしを始めます。
一体誰が何のために?消えたものはどこにいってしまったのでしょう?
イスラエルから届いた絵本は、かわいい男の子ヨナタンが活躍するお話です。
実は、真相を知るとちょっぴり悲しくなる、家族ってなんだろう?と考えてしまう絵本でもあります。
お話は、大学在学中に哲学と演劇を学び、多くの文学作品を生み出しているデイヴィッド・グロスマン。
エルサレム生まれで、パレスチナとイスラエルに和平を呼びかけ世界へ発信していることでも注目されている作家さんです。優しいタッチでヨナタンの思考を静かにじっくりと見せてくれる素敵な絵は、ギラド・ソフェルさん。
イスラエルの絵本と出会う機会はなかなかないかもしれしれません。
是非読んでみてください。物事を観察しじっくりと考えて自分で結論を導くことのできるヨナタン。大人が読んでも気づかされることがたさんありました。一つずつ丁寧にヨナタンの行動や思考を追っていけるので、小さな子どもなら大人が気づかないようなことも発見してくれるかもしれませんね。作品全体に流れる静かな時間の余韻も優しく心に残ります。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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