ひゅる ひゅる ひゅうー
ゆったりのんびり、ふわりふわりと風まかせ、自由気ままな空の旅。
大空から地上を見下ろすと、
小さくなっていく海に浮かぶ緑の島。
どこまでも続く広く雄大な青い海、港に集まってくる小さな白い船。
大きな緑の山のふもとには、ぎっしりとひしめくミニチュアのおもちゃのような家々。
道路は、流れる川のように交差してつながって、
その上をたくさんの車が走って向かっていく先には大きなビルが立ち並ぶ大都会、東京。
その視点を通して描かれるのは、何ページにもわたる見事な景観のパノラマ図。
実は、表紙で目を奪われる鳥の目から見たものではないのです。
その横に並んで飛ばされている「イチョウの葉っぱ」がこの絵本の主人公です。
イチョウの葉っぱは、伊豆諸島の新島から出発して、熱海、小田原城の付近を
飛びながら、海岸線の江ノ島、横浜みなとみらい、新横浜の新幹線に挨拶しながら、
東京スカイツリーへと向かいます。
ひゅるひゅるひゅうーっと一人ぼっちの気まぐれな風の旅。
行く先々で楽しい出会いがたくさん待っています。
やっこ凧やきいろい風船、飛行船にカモメさん。
作者のみねおみつさんが、小型飛行機から見た風景をもとに描かれたという鳥瞰図。
すべては実在する地形なのだそうです。
見返しでは、葉っぱがどんな経路を通って旅したか、地図でも追えちゃいます。
地面に落ちている葉っぱにもいろいろな物語があるのかもしれませんね。
ぜひ、葉っぱからみた空の旅、絵本で一緒に楽しんでくださいね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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伊豆諸島の島の小学校に、大きなイチョウの木がありました。葉っぱは、このイチョウの木に生まれました。葉っぱは、いつも思っていました。「空から見ると何が見えるのかなぁ?」ある朝、島に強い風がふいて、葉っぱは大空に舞い上がりました。空の旅のはじまりです。「おーい。空から見ると、何が見える?」海をはしる船が、葉っぱに聞きました。「とっても広い海が見えるよ」葉っぱはそのあとも、熱海の上空で糸の切れた奴凧と出会ったり、横浜港上空で黄色い風船と出会ったりしながら空の旅をつづけ、新宿、東京のフォーターフロント上空を通って、東京スカイツリーにたどりつきます。そして、その近くの神社に舞い下ります。
空から見える風景を描いた鳥瞰絵図が圧巻の絵本です。鳥瞰絵図はすべて、作者が小型飛行機で空から実際に見た風景をもとに描いたものです。
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