「絵本が大好き!」
わかるわかる。面白い話だったら笑っちゃうし、絵を見ているだけでうっとりすることもあるし、ドキドキしたり、泣いちゃうことだってあるよね。でも、今はテレビだってパソコンだってある。絵本のどんなところが好きなんだろう?
「本を開く時、ページをめくる時のワクワクする感じが好き」
そうかもしれない。大人が読む本だって、色々な気持ちを抱えながらページをめくるものです。
でも・・・そういえば「本」って、最初からこの形だったの?
「本が、今の冊子の形になるまでには、長い長い物語があるのじゃよ」
こう言いながら、ひょっこり現れたのは小さなおじさん、カエサルくん。
偉大なるローマの将軍カエサルが、なぜ本の話を? 仲間もやってきたようだけど、誰なのでしょう?
疑問に思いながらも、カエサルくんは本が生まれた歴史を語りはじめます。
ページがある今の本の形が「冊子」。でも、最初は全然違う形だったのです。
大切なことを正確に、ずっと先まで伝えたい。そういう思いから文字が生まれ、書いた文字をのこすために生まれた本。そこからパピルス紙を使った巻物という形になり、様々な事情から羊皮紙が使われるようになり、さらにじゃばら折りや冊子という形に変わっていき・・・。
その変化の重要な鍵を握るのが、グーテンベルクくん、アルドゥスくん、そしてカエサルくんという訳なのです。
知っているようで、意外と知られていない本の歴史。歴史学者池上俊一先生の監修のもと、その当時の様子を丁寧にわかりやすく教えてくれます。当たり前だと思っていた本の形だけど、色々な世界の歴史が関わって変化してきたんだと、改めて実感できます。
意表をつくのは、現在の書籍の一つの形として電子書籍が登場すること。
そういえばスクロールって巻物にも似ている?
言われてみると、相反するばかりじゃないっていう考えも生まれてくるのです。
これから続いていく本の歴史、今度は自分たちで考えていく出番なのかもしれません。
『カエサルくんとカレンダー』に続く第二弾。こんな骨太の絵本も、たまには親子でしっかりと対峙してみるのもおすすめです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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