深い森のなかで、ある春の日にうまれた動物たちは、すこししずつ大きくなり、
次の春、1歳のおたんじょうびをむかえました。
いもむし、みつばち、りす、ぶた、うさぎ。
みんなは、プレゼントに、それぞれがいちばんほしいものをもらいましたよ。
さあ、プレゼントは、なにかな?
原題は『The Golden Birthday Book』。
1989年にマーガレット・ワイズ・ブラウンの文、レナード・ワイスガードの挿絵で出版された絵本です。
やわらかな言葉と、描きこまれたクラシックで美しい絵にため息が出ます。
アメリカで出版された作品ですが、絵からヨーロッパ的な美しさを想起させられるのは、ワイスガードの父方のルーツがイギリスであり、ワイスガード自身が子ども時代をイギリスで過ごしたことと関係しているかもしれません。
マーガレット・ワイズ・ブラウンは言わずと知れた、アメリカの絵本黄金期を演出した代表的な作家・編集者の一人。
42歳で亡くなってしまいますが、『おやすみなさいおつきさま』『ぼくにげちゃうよ』など数々の作品で知られています。
マーガレット・ワイズ・ブラウンは、ゴールデン・マクドナルドという筆名ももち、レナード・ワイスガードとのコンビで、たくさんの名作を生み出しています。
本書は、しみじみとやさしいまなざしで、静かな時間をとらえた作品が多い、マーガレット・ワイズ・ブラウンらしい作品です。
くりかえされる「プレゼントは なにかな?」という問いと、答え。
大判の絵本のなかに、森のちいさな幸せが、いきいきと息づいています。
植物、昆虫が精密に描かれ、美しい画集のような一冊。
裏表紙には「To〜」「From〜」というふうに宛名や贈り主、日付を記すことができる欄があります。
おたんじょうびの記念に、ぜひ、どうぞ!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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