小さなのはらに住むノラねこ、シキ。
ある日、シキは子ねこを産みます。
可愛い子ねこたちにシキは、ハル、ナツ、アキと名付けます。
そのとき、「ボッカーン」!
ウンチの中から泣きながら飛び出してきたもう1ぴきの子ねこ。
なんだか顔の雰囲気がちょっと違うみたい。でもシキは言います。
「あなたは フユよ。ようこそ フユ」
こうして5ひきの生活は始まったのです。
ママのシキによく似た美人のハル、ナツ、アキはとても働き者。
それに比べてフユは、何をやっても失敗ばかり。
だけどママもおねえちゃんたちも、フユのことをそれはそれは可愛がってくれます。
フユは幸せな毎日の中でどんどん大きくなっていきました。
そんなある日、フユの心に異変が起こります。
自分だけどんどん体が大きくなるばかりでなく、顔のまわりにへんなもじゃもじゃまで生えてきたフユ。
みにくい自分がどんどん嫌いになっていった頃、遠くに大きな体の動物の群れを見つけます。彼らの顔のまわりにはもじゃもじゃがあり・・・。
「あの人たち・・・ぼくに にてる」
なんだか胸のあたりがザワザワするフユ。
やがてフユの中にある考えが浮かんでくるようになり・・・。
小さな子どもたちにもわかりやすく進みながら、でも物語は後半大きく展開していきます。
親子の愛とは、兄弟のきずなとは。相手を思いやる心とは。
大人も子どもも、それぞれの立場から涙を流してしまうかもしれません。
作者はベストセラー『やさしいあくま』の326(ナカムラミツル)さん。ひとりでも多くの子どもたちに、そしてママの元に届くようにと思いを込めて描かれた、現代版「みにくアヒルの子」をお楽しみください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む