あまたろうは、江戸の町で評判の菓子屋「あんこや」の跡取り息子。
毎日ぶらぶらと町を歩き、いっこうに働こうとはしません。
見かねた父親は、あまたろうを座らせて説教をします。
「このさき どうやって、くらしていく つもりなんだい」
ところが、あまたろうときたら、説教の中で言われた「棚からぼたもち」という言葉が気になって仕方がありません。そうです、「棚からぼたもち」と言えば「何の努力もしないのに、思いかけずいいことがある」ってこと。「おとっつぁん、その『たなから ぼたもち』っていうのが、ほんとうにあるのか ないのか、ためしてみようよ。」と言い出す始末。
そんな様子を見て父親は「よし、やってみよう」と言い・・・。
物語はよく知られていることわざを軸に進んでいきます。意外なことにぼたもちを一から作ることから始まるのです。知らず知らずのうちにぼたもち作りに夢中になっていくあまたろう、やっぱり関心や興味は子どもの「なまけグセ」を上回るのでしょうか。
江戸時代の職人の家を舞台に丁寧に描かれたこのお話。澤野秋文さんの絵がぴったりマッチしていて、読者を最初から最後までしっかり楽しませてくれます。
なまけものだけどお茶目なあまたろう、真面目だけど大らかに息子を見守る父親。そんな二人の心が通い合う瞬間を見るのは最高です。
「働くっておもしろい」
読み終わった後、そんな言葉が素直に出てきちゃいそうですね。
さて、肝心の実験の結果はどうなったのでしょう。
そちらも気になるところです。お楽しみに・・・
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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