イスラエルの少女ガリトとパレスチナの少女メルヴェトの文通には、兄弟姉妹への不満、学校の友だちのこと、ファッション、趣味など、少女らしい関心ごとが話題にあがる。しかし、手紙のはしばしには、「学校閉鎖」「軍による連行」「バスの爆弾テロ」などということばものぞく。二つの民のあいだにある「壁」は、何世代にもわたってつづいてきた。ほんの数行の事件として新聞などで伝えられる事実が、現実にはどれほど重いものであるかが、手紙を通してストレートに伝わる。また、立場がちがうとどれほどちがって見えるか、同時に子どもがどれほど平和を望み、家族を大切に思っているかをしみじみと感じさせられるノンフィクション。
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