「いちねんせいの1年間」シリーズの夏の季節を描いた一冊です。
1年生になってはじめての「水泳」の日、お子さんにとって忘れられない日ですよね。さあ、主人公なみちゃんにとって、どんな日だったのでしょう。
6月に転校してきたばかりのなみちゃんは、声も小さく、いつもうつむき気味。隣の席になった優しいようこちゃんは、学校に早くなじめるようにいろいろ教えてあげるのでした。「がんばれ、なみちゃん!」と励ましながら。
そして季節は夏になり、待ちに待ったプールの前日になりました。
盛り上がるクラスメートのなかで、「わたし、プールでおよいだことない…」と、心配顔のなみちゃんに、「わたしが教えてあげるから。」と、ようこちゃんがいつものように緊張をほぐしてあげます。
ところがプールの当日、そんなようこちゃんもクラスメートも目を丸くするような、なみちゃんがいたのです!
宮澤ナツさんのいきいきしたイラストからは、小学生たちの元気な声が聞こえてきそう。元小学校の先生でもあるくすのきしげのりさんが創作されたお話は、小学生になったばかりのお子さんが、主人公と似た経験を重ね合わせながら読み、一緒に元気になれる展開になっているのがいいですね。
なみちゃんが、プールで見せるすばらしい表情に、胸がきゅんとしますよ! 最初はハラハラしながら読んでいた読者も、はじけるような笑顔に勇気づけられます。そして、なみちゃんを心から応援したくなるでしょう。小学校でのはじめての夏らしい物語がつまったこの一冊、じっくり読んでみてくださいね。
(長安さほ 編集者・ライター)
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