不思議なタイトルだと思いませんか? 『アリとくらすむし』だなんて。
じつはアリと暮らす虫たちがいて、不思議なことがいっぱいなんだそうです。
たとえば……アリヅカコオロギという虫は、アリの巣のなかでアリにえさをもらいます。
そんなことがどうして可能なのかというと、アリと同じにおいをつけて、アリのふりをするんですって!
作者がアリヅカコオロギを飼育中、アリ同士が口写しでえさを分け与えるあいだに、アリヅカコオロギが割り込んでえさを盗み取る姿を見て、とても驚いたのだそうです。
他にも……アブラムシはお尻から甘い汁を出すことで、汁が好きなアリに、敵から身を守ってもらいます。
子どもをアリに育ててもらう虫もいます。クロシジミの幼虫は汁を出すかわりにアリからえさをもらうのだそうです。
おどろくほど身近な虫たちが、アリといっしょにいる瞬間をとらえた写真絵本。
微細なアリを大きく写しだした写真は、ギョッとするくらい迫力たっぷり。
ページをめくれば、なぞの場面が次々登場します。
ひらがなだけの文字は大きく、小学校低学年でもすぐ読めます!
じーっと写真を見つめれば、きっとたくさんの発見に出会えるでしょう。
巻末にはアリの種類、見返しにはアリと暮らす生き物一覧が掲載されています。
もしアリの巣を見つけたら、じっと観察して、石をどかしたり行列をたどったりしてみませんか?
夏休みの自由研究前に本書を読むと、視点が参考になりそうですよ。
男の子のなかには「アリって、かっこいい!」とアリを見直す子もいるかも。
作者の島田たくさんがアリの世界をじっと見つめた感動がそのまま写し出されているようで、わくわくドキドキ(ママは昆虫のあまりのドアップにドギマギ!?)してしまう写真絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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