豪華なお城とたっぷりのごちそう。今日は女王さまの舞踏会。
お城に招かれたお客さまは、ヤギ伯爵、ハト博士、カメレオン卿、イカ大王などなど。
高貴な身分の動物たちが、舞踏会を楽しんでいます。
しかしそのとき、とつぜん雷が落ちてあたりはまっくらに!
そして響きわたる女王さまの悲鳴。
なんと、女王さまの影が盗まれてしまいました。
いったいどの動物が、まっくらな部屋の中で女王さまの影を盗んだのか?
事件を捜査する名探偵は……シャコ!?
ほとんどの動物がそれぞれにひとつの色でしか塗られていない、特徴的な色使い。
そんな動物たちがたくさん集まって、独特なカラフルさを生んでいるのが楽しい絵本です。
そのなかに、一匹だけやたらとカラフルな姿のが……
文字通りに“異彩”を放つ、名探偵のシャコ!
探偵役としてシャコというのがなんともユニーク。
しかも捜査する事件は影どろぼう。
それだけでも心ひかれるに十分な物語ではありますが、実のところこの絵本は『いろいろな動物の目の機能』について学ぶことのできる学習絵本なのです。
この物語に登場する動物たちはそれぞれに目の機能が異なり、見える景色に差があります。
事件が起きた暗やみのなかで、舞踏会の動物たちはそれぞれに何を見たのでしょう?
彼らが持つ特別な目の機能について解説しながら、その動物だからこそ見ることのできた事件の手がかりをたどっていきます。
使用されている語句からも高学年向けではありますが、目の機能についての部分を抜きにして見ても十分に楽しめる作品です。
また物語の中で触れられている以上に、巻末でもかなり詳しく目の機能について解説されているので、より深い学習の助けにも。
絵、物語、学習的価値、どれをとってもおすすめできるお得な一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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