野球の練習の帰りに、駄菓子屋でジュースを買ったぼくと弟のあつし。
でも、後で財布を見てみたら、もらったお釣りが50円少なかった。
「よし、おばちゃんに いいに いくで!」と、
駄菓子屋に戻り、足りなかった50円玉をもらって一件落着。
次の日、たこ焼きを買ってお釣りをもらったら、
今度は50円多かった。
「にいちゃん、どうする?」
「そうやなあ……」
(『おつりが、50円 おおかった』って、しょうじきに いおうか)
(いや、このまま、だまっておこうか)
50円玉の行方に悩む、兄弟の取った行動とは……?
くすのきしげのりさんの描く、子どもたちの心の葛藤は、
とても身近で、つい登場人物と一緒になって、悩んでしまいます。
そして、絵本に出てくる兄弟のすがすがしい行動を
しっかり受け止める大人の姿からも、
大切なことが伝わってきますね。
のびのびと描かれた筆の線が、子どものまっすぐな気持ちを
ページの色の変化が、ふたりの気持ちの移り変わりを
表現しているようです。
子どもとお金の大事なつきあい方を描いた絵本。
今まであるようでなかったかも。
(木村春子 絵本ナビライター)
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