「チョコたろうは チョコから うまれました。
とおい むかしの はなしです。
よくは おぼえて おりません。
とにかく、ママは チョコでした。」
こんな文章からはじまる本書、一人前のチョコになったチョコたろうが旅に出るお話です。
チョコたろうは、とくせいの「ミルクミルクチョコ」をさしだし「ちょこっと チョコは いかがですか」。
大人たちのケンカや、前髪を切りすぎて泣いている女の子の涙をしずめていきます。
文のリズムはまるで落語のよう。チョコたろうの旅姿は、半纏、袴に、足元は足袋、ぞうり。
笠はかぶっていないけれど、チョコたろうは和風ヒーローになるの?と思いきや……!?
ホテルバイキングでケーキ、プリン、おしるこ、鯛焼き。たっぷりスイーツを食べる姿は和洋折衷。
おまけに甘いもの好きの盗賊団のせいで思わぬ目にあい、チョコたろうは涙をぽろりぽろり。
うわあ、チョコたろう、泣き出しちゃった!
どうなっちゃうのかな?
直木賞作家、児童文学作家としてジャンルの枠をこえて活躍する森絵都さんの文と、青山友美さんの絵が、今までにないポップなキャラクター「チョコたろう」をうみだしています。
あまいこえで「ちょこっと チョコは いかがですか?」と言われてみたい!
子どもたちには夢のようなチョコづくしの場面、盗賊団のまぬけでかわいい場面もどうぞお見逃しなく。
(この盗賊団、甘いものをやめられないちびっ子たちみたい、と思うのはわたしだけでしょうか?)
濃い茶色のチョコたろうを見て、やっぱりチョコを食べたい!と思うか、チョコはもういいよ……と思うでしょうか。
チョコづくしのチョコたろうの絵本。
チョコ好きのみなさん、ぜひ読んでみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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