『がっこうにヤギがきた』続編。
小学校で子どもたちが飼ってお世話をしているのは、
メスの黒ヤギ、ハッピーと、オスの白ヤギ、ラッキー。
2年生と1年生が一緒になってお世話係をしています。
飼育小屋をホースの水やブラシで掃除したり、えさをあげたり、お散歩をしたり!
ヤギと過ごす子どもたちの楽しそうな笑顔がはじけます。
「ねえ、ハッピーときどきへんななきかたするよね」
「うん、どうしたのかな」
「いつも飛び出してくるラッキーがでてこない。
じっとしてうごかないんだ。どうしたんだろう?」
「先生、ラッキーびょうきかもしれない……」
子どもたちはヤギのお世話をしながらいろんなことに気づいていきます。
ラッキーは獣医さんに連れていかれ、ハッピーはさみしそう。
そしてだんだんハッピーのおなかがふくらんできて……!?
ハッピーのあかちゃんが生まれる瞬間が描かれた場面は感動的です。
おかあさんになったハッピーの誇らしげな顔といったら……。
長谷川知子さんの躍動感あふれる絵の中に、おごそかな出産場面がいきいきと描きだされます。
この絵本は、新宿区東戸山小学校の実践を取材して作られたもの。
いのちは、生まれたり、なくなってしまったり。
それが当然だけど尊いものだと、さりげなく本書はおしえてくれます。
世話をする子どもたちの心配そうな顔、ハッピーのたくましさ、子ヤギのかわいさ。
きっと読む幼い子は自然に受け止めて絵本を楽しむはずです。
ヤギと子どもたちがいっしょに育つ絵に、心があたたかくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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