おこめの神様が釜のふたを開けると、
中からたくさんの「こめぼうず」が生まれました。
「たんぼは あっちじゃ、たのんだぞい」
神様に言われて、こめぼうずたちは、「へぇーい!」と元気に田んぼへ向かいます。
こめぼうずたちが稲穂に宿ると、その稲穂は立派なお米が実るのです。
こめぼうずたちが、どんどん稲穂に収まっていくなかで、
様子がおかしいこめぼうずがひとり…。「こめごろう」です。
彼が宿ろうとした稲穂がカラカラに枯れていたのです。
「おう!なんだい、オラのいなほだけ かれてるでねえか!」
「おこめなんて こっちから やめてやらあ」
怒ったこめごろうは、田んぼを飛び出しました。
おこめじゃなくて、もっと派手なものに宿りたい。こめごろうは、野菜やくだものの神様にお願いしてまわりますが、ちっとも相手にしてもらえません。
救いを求めて訪れた「うめぼうし」の寺では、さらにひどい目にあい、命からがら都へ逃げのびますが…。
災難につぐ災難。こめごろう、いったいどうなっちゃうの?!
息もつかせぬ怒涛の展開は、よしながこうたくワールド炸裂、迫力満点です。
みっしり描きこまれたパワフルな画面は、見ごたえたっぷり。
次々登場するへんてこな姿の食べ物たちを眺めるだけでも面白い!
何より、げじまゆに目力、大きな鼻の穴、ただでさえインパクトのある こめごろうの顔が、大変な目に合えば合うほどスゴイ顔に! もう、目が離せないのです。
こめごろうの冒険を、ハラハラしながら見守ってもよし、力強く応援しながら読んでも、ゲラゲラ笑っちゃってもよし。
どんまい! ふんばれ! こめごろう! いつか、おこめの神様になる日まで…?
問答無用の「食べものエンターテイメント」。思いきりノリノリで楽しんでくださいね。
お父さんの読み聞かせが似合いそうな、生命力あふれる一冊です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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