山の中で帰り道がわからなくなってしまった小熊がいました。
「こまったな、こまったな。」
そんな時、水をさがして困っているこりすさんに出会います。
小熊は、
「いっしょにさがそうよ。」と言って、自分の背中にこりすさんを乗せてあげました。
小熊とこりすは山の中で、次々に同じように「こまった、こまった。」と言っている動物たちに出会います。
その度に、小熊は優しく「ぼくのうえにのるといいよ」と声をかけます。
最後に出会った小鹿は、罠にかかり泣いていました。
こまった小鹿を助け出そうと、動物たちみんなで力を合わせて罠を外してやります。
すると、それぞれの抱えていた「こまったこと」がみるみると解決してゆき・・・・
自分が困っている時こそ、他の困っている仲間を助けようとする優しい気持ちが輪になって、みんなが幸せになれる絵本です。
80年代に平和を願って出版された、かこさんの名作絵本の新装版です。
かこさんがこの絵本を書かれた当時の時代背景を巻末で書いていらっしゃいますが、その時の切なる願いが今も尚変わらないことは、少しさみしいとおっしゃっています。
91歳になられた今も精力的に活躍されるかこさとしさんからの、現代の子供たちに向けた大切なメッセージです。
(福田亜紀子 元絵本編集者)
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