雪が溶けて、森には春がやってきました。
冬のあいだ眠っていたどうぶつたちが目を覚まし、楽しく遊びはじめたようです。
ところが、クマさんが見当たりません。
ようすを見にいってみると、まだぐっすり眠っているではありませんか!
あの手この手でクマさんを起こそうとしますが、森のみんなが力を合わせても、体のおおきなクマさんはぜんぜんへっちゃらで眠りこけています。
ふだんならもう、クマさんも起きていっしょに遊んでいるのに……。
どうしたものかとみんなが頭を悩ませていると――
「ぼくがクマさんを起こしてあげるよ!」
やってきたのは、ちいさなちいさなアリさん。
「ぼくたちが力を合わせても起きないんだから、アリさんにはできっこないよ」
そんなみんなの声にもおかまいなし、アリさんは自信満々。
いったいどうするつもりでしょう?
なんてカラフルでにぎやかな絵本!
どうぶつたちが遊ぶ森も、クマさんの家も、色とりどりの花々であふれています。
どうぶつたちの着ているオシャレな服も、その春めいた色合いになんだかわくわく!
まるで春のイメージをそのまま絵本に貼り付けたような、かわいらしい作品です。
クマさんを起こそうとしてどうぶつたちがいろいろ試してみる場面では、読み手もいっしょにクマさんを呼んでみたり、絵本をゆすってみたり、動きのある遊び方もできる本作。
見ているだけでも楽しいカラフルなイラストで、ちいさな子からじゅうぶんに楽しめる印象です。
カラフルな花模様が好き?
それならきっと、お気に入りの一冊になるはず!
(堀井拓馬 小説家)
続きを読む