にぎやかな街で暮らす女の子、名前はデイジー。
デイジーは、嵐の雨に打たれていたびしょぬれのみつばちを助けてあげました。
一緒に暮らすことになったデイジーとみつばち。楽しい毎日を過ごしていると……、
みつばちは、いつの間にかデイジーより大きくなって、デイジーを乗せて飛べるようになるのです。
楽しい時間がいつまでも続けばいいけれど……別れの時が来てしまいました。
「ふゆが くるまえに あたたかい ところへ いかなくちゃ」
みつばちは、窓から旅立っていきます。
「さようなら。きっと また きてね!」
もともとはイギリスで出版された「文字のない絵本」だった原作に、詩人の蜂飼耳さんが独自の文章をつけたこの絵本。
まずは、飛び込んでくる絵の温かさと優しさに、心をつかまれます。
みつばちのふかふかした大きな背中はとっても気持ちがよさそうで、ここに乗って空を飛んだらどれだけ気持ちがいいだろうか……と、想像が膨らみます。
さらに、みつばちやデイジーのふとした表情、空から見下ろす景色の美しさ、そして、さみしいお別れを乗りこえたラストシーン……じっくりと浸りたくなる世界です。
詩人である蜂飼耳さんの文章はとても穏やかで、絵の世界観と見事にシンクロしています。
ぜひ、言葉の一つひとつを味わいながら、絵の隅々まで堪能してくださいね。
(洪愛舜 編集者・ライター)
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