夜、父親が湖に魚を捕りにいっているあいだ、たろうは一人で留守番をしていました。戸をたたくものがいるので開けてみると、クマの親子が軽く頭を下げ去っていきました。たろうはそのクマが、去年の夏、庭で干していた梅干しを食べていたのを見逃してやったクマだったと思いだしました。あの時お腹にいた子どもが生まれたのだろうと……。静かな月夜の晩の心にしみるお話です。(「こどものとも」237号)
ある、つきよの夜にくまの親子がたろうの家を訪ねてきました。ただ頭を下げてたろうの前を去っていってしまったのです。その親子熊は以前たろうに助けてもらったのでした。そのときのお礼を言うためにくまはたろうのまえに現れたのです。山に食べるものが無くなり里に下りてきたくまの親子は人間の大人たちに追われ、たろうのやさしい気持ちがくまを逃がしたのです。子供の純粋なやさしい気持ちと動物でもその気持ちがわかり、子とくまとの無言のやりとりに心が温かくなった一冊です。 (ひこうき雲さん 40代・ママ 男の子8歳、女の子8歳)
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