ファビアンは空想好きの男の子。
頭の中はいつも楽しいことで溢れそうです。
今日はお祭りの日。
外からは、タイコや笛の声が聞こえてくるので、ファビアンは早く出かけたくてしかたありません。
ところが、お祭り用の帽子と風船が見つからないので、なかなか出かけられません。
家じゅうを探しまわるママをよそに、ファビアンはいろんなことを思いつきます。
「大人も補助輪付きの自転車に乗っていたら、おもしろいよね!」
「車のかわりにゾウが走っていたら、おもしろいよね!」
「木の上に住んだら、おもしろいよね!」
などなど……。
ママが「だまって」、と言うのも聞かず、ファビアンはどんどん空想を膨らませて、おしゃべりがとまりません。
マシュマロの首飾り、ケーキの帽子、本物の星が出てくる花火……。
ママは、もう黙ってないとお祭りに行かないわよ!と怒りますが、ようやく帽子も風船も見つかり、二人はやっとお祭りに出かけることに。
ところが外に出ると、なんとファビアンの空想していたことが、目の前に広がっていたのです…!
子どもは誰しも楽しいことを空想するのが大好き。
でも大人になると、つい現実的になって、そんなことは無駄だと思ってしまいます。
でも本当に無駄なことでしょうか?
ファビアンが、ママや読む人を、夢のようなお祭りに案内してくれます。
無限に広がるファビアンの空想の世界のように、絵本のページが観音開きになっている、楽しい仕掛け絵本です。
(福田亜紀子 元絵本編集者)
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