ある日、卵のパックにひとつだけ、おかしな卵を見つけた「わたし」
「この卵、ふしぎな色してる! すっごい生き物がうまれたりして!」
よーく観察、ノートにスケッチ! こまかく重さをはかってみたり、別の卵と比べてみたり……
そしたら次の日卵がわれて——生まれた生物は、たしかにすっごい!
ピンクの体に、尻尾に、エリマキ!?
どんな生き物ともちがうみたい。
メロウと名づけたその生き物を、「わたし」はもっとよく知りたい!
「お話を通して科学する心の芽を育む」はじめてのかがくえほんシリーズ第2巻。
図鑑を見ることと、絵を描くことの大好きな「わたし」は、フシギな生物メロウのことをもっとよく知りたくて、その観察日記をつけることにします。
メロウはなんの仲間だろう?
卵から生まれたから、トリやワニやヘビの仲間?
でも、羽がないからトリじゃない。
体もくねくねしてないし、どうやらヘビともちがうみたい。
何日かすると、メロウが成長!
びっくりぎょうてんの大変身!
観察日記もはかどります。
子どもって好奇心旺盛で興味津々、いろいろなものに心を向けますが、自分のなかの興味をどう突き詰めていったらいいのか、わからないことも多いものです。
くわえておとなもまた、そうした子どもの気持ちに対して、どう後押ししてあげればいいのか迷いがち。
この物語の主人公「わたし」は、メロウを観察し、記録し、推論し、そして、いろいろな方法で客観的に測定することで、メロウがどういうものかを定めようとします。
科学という視点で興味に立ち向かうそんな「わたし」の姿は、子どもにとってもおとなにとっても、ひとつの指針となってくれるはず。
おとなの方には、巻末に掲載されているNPO法人ガリレオ工房理事長・滝川洋二さんの言葉も、おおきなみどころのひとつ。
作中に描かれるエピソードを引き合いに出し、子どもが自分の興味関心と付き合っていく上で、おとなが担うべき役割についてわかりやすく解説されています。
もちろん、突飛なメロウの成長記録や、よろこんだりおどろいたりといった「わたし」のかわいらしい表情だけとっても、にぎやかでたのしい絵本です!
ある日、メロウがひとり部屋で涙する様子を見てしまった「わたし」がとった行動とは——?
まさしく「おもしろくってためになる」、おとなにも子どもにもおすすめの一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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