だんまりうさぎははたらきもの。今日も畑を耕します。
何のタネを蒔いたのか、モグラに聞かれても仲良しのおしゃべりうさぎに聞かれても小さい声で「ひみつだよ。」
毎晩、畑に水をやりながら
おほしさまを ようく 見とくんだよ おほしさまの声を ようく 聞いとくんだよ
と声をかけるのです。
やがて芽が出て花が咲き、たくさんの実がなりました。
その実を使ってだんまりうさぎはあるものを作ります。
おほしさまの声と歌声をたっぷり聞いて育ったひみつのタネ。
咲いたお花に耳をつけると、星たちの歌声や鈴のような笑い声が聞こえてくるのです。
だんまりうさぎとおしゃべりうさぎが、並んで黄色いお花に耳を寄せて聞いてるシーンがとても印象的です。
安房直子さんの作品には、いつも独特のゆったりとした時間が流れています。
この作品を読むとまるで満点の星空の中にいるような気分になります。
星たちの鈴のような笑い声って想像するだけで心地いい。
星を見ながら眠って、眠りながら星たちの声をきく……だんまりうさぎが作ったものは、なんてロマンチックなんでしょう。
この本にはもう一つお話が入っていてこちらはお祭りのお話。
とびきり大きくてばら色のわたあめが出てきます。
食べるとばら色の雲の上を歩いているような気分になるだんまりうさぎとおしゃべりうさぎ。
これも安房さんらしい世界観だなぁと思いました。
寡黙だけどロマンチックなだんまりうさぎと愛くるしいおしゃべりうさぎのこの本はシリーズ3作目。各本に2つのお話が入っています。
2年生ぐらいから読めるでしょう。シリーズですがどの本から読んでもおすすめです。
(山田裕子 小学校司書)
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