みなさんは「かば」という電気機関車を知っていますか?
正式な名前は「EF551(イーエフ・ゴジュウゴ・イチ)」。
顔がかばに似ているから「かば」と呼ばれていたんですって。
確かにインパクトのある顔です!
今は埼玉県にある「鉄道博物館」に展示されているのですが、よく見ると運転先の天井には銃弾に打たれた大きな穴があります。そこにはこの機関車が辿ってきた様々な運命の軌跡が残っているのです。何か伝えたいことがあるのでしょうか。その物語を「かば」本人の口から聞いてみることにしましよう。
わたし「EF551」は1936年3月に生まれ、特急列車として東海道線の東京と沼津の間を沢山のお客さんを乗せて走っていました。この愛嬌のある顔は子どもたちの間でもたちまち大人気になりました。ところが1年も経つと、日本は戦争を始めたのです。戦争はどんどん激しくなり、やがてわたしは兵隊や兵器のみを運ぶようになり、さらに敵の飛行機が人々の移動手段である列車を集中的に攻撃し…。
鉄道を愛し、たくさんの鉄道絵本を描き続けている間瀬なおたかさんが「EF551」に耳を澄ますような気持ちで創作されたこの絵本。読めば時代に翻弄されながらも仕事を全うするその存在感の強さに心を惹かれていくのを感じます。
子どもたちと一緒に、何が起こっているのかを考えながら味わってもらいたい1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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