第二次世界大戦中、6歳でナチスのホロコーストを体験したフランス人女性の手記。 アンネ・フランクと同じ収容所に移送された少女の見た風景が、人間のあり方を問う話題作。
訳者あとがきで紹介されている読者からの感想に一気に読んだとあったが、少女の時の記憶をたどりながらの訥々とした語り口、歴史的背景をしらないと理解できないこともあり、時々立ち止まってしまい、一気には読めなかった。
際限のない地獄絵図。空腹、チフス、汚物、シラミなど冷静に淡々と事実を語っているが、この状況下で生き延びられたのは奇跡としか言いようがない。
戦争物を読んでいると思うことだが、辛すぎる体験は体全体で記憶する。それは生き延びるための防衛本能かもしれない。
同じユダヤ人でも生まれおちた国、ホロコースト時にいた国、文化圏で考え方も扱われ方も違う。ナチスに連行された時点で、子ども時代が終わってしまうというのは『アウシュビッツの図書係』とも共通する。
子ども時代が終わるというのは、自分で考え自分で選択して生きるとイコールのことであり、危機が迫った時に何を選択するかその積み重ねで運命が動いていく。それ以外にも、生まれ持った体質・精神の強さなどもあるが、何がどう幸いし生き延びることができたのはもう人知の及ぶところではなく、神の範囲なのだと思う。
生きること、戦争、貴重なホロコーストの手記である。 (はなびやさん 50代・ママ 男の子16歳)
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