「とうさんがしんでから、男はぼくだけだから、はたらかなくっちゃ」湿原にくらす少年サダムは、漁をして家族をささえる。あるとき大雨がつづき、てっぽう水でいえがながされた。サダムは水牛をあやつり、家族や近所の人をのせた小ぶねを水牛につないで、丘の上の学校をめざす。そこへ、ちかいいちの大ワニがしのびよる!フィリピン・ミンダナオ島で暮らす著者が、現地に息づく「生きる力」を伝える絵本。
父親が死んでしまったので、生計を立てるために学校にいけないサダム。フィリピンのミンダナオ島のお話ですが、紛争地帯でもあり、お父さんの死が戦闘によってだとすれば、この絵本の読み取り方は複雑です。
自然災害時の助け合いと言う、人々の連帯は、紛争に対しても同様なのでしょう。
大きなワニが生息する危険地帯のワニは、豊かな天然資源を狙う国際資本かもしれないという作者の解説が重いです。
尻尾をくわえられてしまったように見える水牛、何事もなかったのでしょうか。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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