ある夜、ひとすじの光がハナの庭先に落ちました。朝になってハナがそこで見つけたのは、浮かぶ小石。
瓶の中に入れるとしゅるしゅると飛び回ります。
その後も、光が落ちてきた先で浮かぶ小石を見つけるハナ。不思議に思ったハナはこっそり隠して調べることにしましたが、図書館の本には浮かぶ小石について何も載っていません。
ある時ハナは、小石と小石はパズルのように「ぴちっ」とくっつくことに気がつきます。くっついた小石たちは少しずつ輝きながら大きくなって、どうやらあと1つで完成しそうなのですが…その時。
この絵本を初めて手にとった時、ワクワクしてこれは早く子どもたちに読み聞かせをしたいなぁ、と思いました。
絵だけ見ても十分に物語が語られていて面白さが伝わってきます。
さっそく、全ての学年に読んでみました。
読み聞かせの前に「この絵はね、鉛筆と木炭で描いたんだって」と紹介すると、え〜!と子どもたちは表紙に釘付けに。
そして1ページ目の満天の星空の場面を見た瞬間「…マジかよ。すごい。」と声が上がりました。
初めは絵の細かさに驚いていた子どもたちも話が進むに連れて展開の面白さに夢中になっていきます。
小石がパズルのようにぴちっとくっつくところは、「磁石かな」「ほらやっぱり1つになるんだよ」「あと1個小石を探しに行かないと」と独り言のような声があちこちから聞こえてきました。
小石同士はくっつくと透明で水色に光る石に。
暗がりでぼーっと光る水色がとてもきれいで子どもたちの視線が集まります。
ハナが透明な水色の石にしがみついて夜空に浮かぶ場面は、聞き手の子どもたちも一緒に夜空を飛んでいるようで「おぉ〜。落ちる〜」「宇宙へ帰るのかな」とグッと絵本の世界へ。
ふと見ると、読み始めより子どもたちが全体的に絵本に近づいて、担任の先生も一緒に身を乗り出して聞いていました。
この絵本は絵の魅力はもちろんですが、声に出して読んでみると文章の良さにも気がつくでしょう。
淡々とした日記のような語りがかえって不思議な体験を際立たせて、すごい秘密を打ち明けられてるような気持ちになります。
ハナの素敵な秘密をみんなで一緒に目撃している、読み聞かせの途中でそんな一体感を感じました。
最後のページを閉じると水色の見返しが。読み終わっても心に石の光が残ります。
どの学年でも読み聞かせの後に「かりたい。」と声をかけられました。
じっくり1人で読みたくなるんだよね。
この絵本は読み聞かせ初心者にもオススメです。
おうちでパパが読んだらまた違う雰囲気になっていいでしょう。
読み手は男女を問わず、聞き手は子どもから大人まで楽しめます。大人のお話会にもいいですね。
(山田裕子 小学校司書)
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