ずっと昔、草原にライオンがひとりっきりで住んでいました。ある日、飛べなくなった一羽の鳥が草原におりたち、一緒に過ごすようになりますが……。ライオンと鳥がたどる、はるかな時と巡る命を描いた、せつなく壮大な物語。
絵本の名作には、おばあちゃんが子供の時に読んで、子供が生まれたらその子も読んで、その子が結婚して子供が誕生したらその子も読んでいる、そんな何代へと続く名作があります。
もしかしたら、この絵本もそんな名作になるのではないか、そんな気がします。
2018年秋に出た絵本ですから、何代も先の子供たちが読むのはまだまだ先のお話ですが。
ずっとむかしのお話です。
広い草原に一匹のライオンが住んでいました。その草原にはこのライオン以外に動物がいなく、ライオンは草や虫を食べていました。
そんなある日、ライオンは一羽の鳥と出会います。
久しく肉を食べていないライオンでしたが、鳥を食べることはしませんでした。
お腹は減っていましたが、それよりも誰かと一緒にいることを選びました。
でも、いつか別れがやってきます。
ライオンは弱っていく鳥に「おれは、ただあんたといたいんだよ」とおいおい泣きます。
鳥は「100年たったら、また会える」とライオンを慰め、死んでしまいます。
そうして、100年経ちました。
ライオンは貝に、鳥は波になっていました。
そのあとの100年、その次の100年、ライオンと鳥はそのたびに姿を変えて、それでもかつてはどこかで会ったことがある記憶だけが残っています。
何度目かの100年、二人は男の子と女の子になってめぐりあうのです。
絵本は子供だけのものではありません。
大人の人でも十分に鑑賞できる作品があります。
この作品がまさにそう。
何代へと続く人たちに読んでもらいたい、そんな一冊です。 (夏の雨さん 60代・パパ )
|