ゆうきくんの家をかけめぐる、会議のお知らせ。
場所は「冷蔵庫前」。
議題は「ゆうきくんのすべて」。
そして、司会は「時計さん」。
前作『まよなか かいぎ』では、まよなかに文房具たちによってひらかれていた秘密会議。
お月さまだけが知っているその会議のほかに、じつは、ゆうきくんの留守中に開かれている、別の会議もあったのです。
「るすばん会議をひらきます。わたしたちは、ゆうきくんが元気で大きくなるよう、応援しています。このごろのゆうきくんはどんな様子か、話してください!」
さて、時計さんの司会ではじまった、家具家電たちによる秘密会議!
すると、ゆうきくんへの不平不満が噴出!
冷蔵庫はあけっぱなしだし、ゴミ箱の中にはくつしたが飛んでくる。
そして、片割れをなくしたくつ下たちが、相方を想って悲しげに歌います。
そんな様子を見て、みんな困り顔。
「元気なのはいいのですが……」
と、そのとき——
「なにをおっしゃっているのですか!」
そういって入ってきたのは、ベビーベッドさん。
「みなさん、ゆうきくんがうまれたときのことを、おぼえていらっしゃいますか?」
それがきっかけとなって、秘密会議の参加者はさらに拡大!
みんながそれぞれ、ゆうきくんとの思い出を語りはじめて——
「あるある!」とくすりとさせられるか、それとも「ぎくり」と苦笑い?
ひとりの男の子の成長を見守る、意外な“家族”たちのあたたかな物語です。
いつも見守ってくれている。
どんなときも、応援してくれている。
家族よりも他に、そんな存在がたくさんいたとしたら、なんて素敵なことでしょう!
きっと、むかしから何度もひらかれていたであろう秘密会議。
これからも、みんながゆうきくんの成長についてやいやいと話しあうことでしょう。
そんな、物語の外側が自然とイメージできて、なんともほほえましい一冊です。
ゆうきくんみたいなわんぱくさんでも、これを読んだら——
家の中にいる物静かな“家族”たちのこと、いままでとはちがう愛着をもって大切にしてくれる、かも?
(堀井拓馬 小説家)
続きを読む
ゆうきくんが留守の間、静かな家の中でそっと開かれている家具たちの会議がありました。小学生の毎日は、不安なことも自信をなくすこともいっぱいあるけれど、心配いりません。赤ちゃんだった君はこんなに大きくなったのだから。
編集者コメント
2018年に刊行した『まよなか かいぎ』の姉妹編。前作では小学生になったばかりの主人公を、昼間行動を共にする文房具たちが応援するさまを描いた。そちらを横軸とすれば、本作はいわば縦軸。主人公の、今最も近くにいるものが横軸で応援している一方で、生まれてからこれまでの成長を見守ってきた家具たちも、縦軸で、前作同様、主人公の知らぬところでそっとけれど熱く応援していたのだった。もちろん一方の応援でもそれは強固なものだが、縦横が織り成すより愛情深い応援は、人が生きていく上での、さらに頑丈で安らかな土台となるのではないだろうか。
続きを読む