絵本『おばけのジョージー』(福音館書店、1978年刊)で長らく日本の読者にはおなじみ。
そのジョージーが主人公の、幼い読者にもちょうどいい新シリーズです。
ジョージーは小さなやさしいおばけ。
誰かをおどかすことはなく、むしろ、いいことをときどきしてくれます。
ホイッティカーさんの家の屋根裏に住み、ねこのオリバーと、ふくろうのハーマンという仲よしの友だちがいます。
ある春の日、ジョージーはこまどりの巣を見つけます。
細い木の枝の先っぽにつくられた巣。
中にはたまごが3つも産み落とされ、風がふいたら落っこちてしまいそう。
ジョージーは、巣が落ちそうになったらどうすればよいかと、友だちと相談をします。
さあ、たまごは無事にかえるのでしょうか……。
本作の見どころは、ジョージがとっても素敵な解決策を見つけること!
ジョージーは、ただいいことをするだけでなく、その結果、別な人が困っている様子を見れば、さらにちゃんと手を打ってくれます。
ホイッティカーさんにはジョージーの姿が見えないようですが、この2人って、とても理想的な隣人ではありませんか!
ジョージーのさりげないやさしさに、胸があたたかくなりますよ。
小宮由さんが訳した本書は、作者ロバート・ブライトが亡くなる前にのこした、ジョージーの4冊シリーズのうちの1冊にあたるそうです。
ジョージーのシリーズは、なかがわちひろさんが訳しているシリーズもあります(『おばけのジョージーおおてがら』など幼年文学仕様の全5冊)が、本シリーズは、これまで日本で出版されてきた作品に比べると、ページ数や文字が少なめで、3歳くらいから楽しめそう。
はじめてジョージーの本を手にとる方にもオススメです。
もちろん、他の作品を知らなくても十分楽しめます!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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