白い壁に、白い家具。たくさんの緑に、キラキラ光る小物たち。
そこへたっぷりの明るい光が差し込み、「うーん……おはよう」。
ロボットに起こされて、目を覚ますのはミライくん。
ああ、素敵な部屋。
開いた途端、惹きこまれるそのページをよく見ていると、あることに気が付くのです。
……浮いている!
椅子やテーブル、ランドセル型ロボット、水道の水まで。
そう、ここは未来の家。
小学生のミライくんの一日が始まります。
「いってきまーす」
移動型教室のお迎えで登校し、無重力遊泳や宇宙語を習い、惑星や銀河を頭の上に眺めながら理科の授業。お昼ごはんはイマジナリーフード。
絵本全体を覆う美しい色合いの景色に誘われて、読者の気持ちはすぐに「ミライの世界」の住人に。なんてワクワクする光景なのでしょう。だけど、読めばわかっていくのは、そこは「地球ではない」ということ。限りなく今の自分たちの生活の延長線上にあるように見えるけど、決定的になにかが違う。
この絵本がすごいのは、誰の心にも生まれるそんな小さな不安が吹っ飛んでしまうくらい「ミライの世界」が魅力的だということ。漫画家・イラストレーターとして活躍されているコマツシンヤさんが描くのは、 幻想的でどこか懐かしくも、明るく前向きな風景。
「人間の想像力ってすごい」
「こんな未来なら早く行きたい!」
暗くなりがちな大人の心に希望の光を灯し、子どもたちには進むべき道を示唆してくれる。大袈裟でなく、そんな価値のある1冊だと思います。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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