「アリストテレスの科学の精巧なタペストリーに思いをいたし、それをわれわれの科学とくらべてみながら、われわれは今ようやく、彼の意図していたことや彼が成し遂げたことを、われわれ以前のどの時代よりもはっきりと見て取ることができるようになった。私はそう思っている。そしてもしそれが本当なら、それはわれわれがやっと、彼に追いつくことができたからなのだろう。」
(本文より)
下巻では遺伝や生活史の理論、ダーウィンとの比較のほか、自然発生説やコウイカ大論争といったテーマに端を発する近代以降の生物学のターニングポイントにもスポットライトを当て、その随所にアリストテレスの影を色濃く浮かびあがらせる。また、アリストテレスの生物学と哲学がどのように結びついていたか、それらがいかに現代の生物学の体系の中核に引き継がれているかについても掘り下げる。
科学革命以来の数百年間、ほとんど蔑ろにされ忘れられていた偉大な生物学者を、著者はダーウィンやリンナエウスと比肩する先達として見事に蘇らせている。
〈グールドの最良の著書にも匹敵する才筆。近年の生物系の著作の中では抜きん出て長く読まれる本になるだろう〉
──ニューサイエンティスト誌
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