「ぞうさん」や「やぎさん ゆうびん」「ふしぎなポケット」など、今も子どもたちに歌い継がれる、まど・みちおさんの詩。
この絵本には、まどさんの詩が15篇、載っています。
童謡「くまさん」では、
冬眠から覚めたぼんやりしているくまさん。
「ええと ぼくは だれだっけ」
川の水にうつった顔見て思い出し、
「そうだ ぼくは くまだった よかったな」
かわいいようすに顔がほころびます。
でも、まどさんの詩は、かわいいだけではないのです。
「根」では、
草や木を栄えさせている肝心なところ、
根が外からは見えていないことを、
「こんなにして消えているのか 人間の視界からは いつも肝心かなめなものが」
と、うたっています。
深く考えさせられますよね。
まど・みちおさんの詩は、きっと、子どもたちが初めて出会うで詩ではないでしょうか。
優しく、広い心で人間を見つめ、104歳で亡くなるまで詩を書きつづけた、まどさん。
それに、いもとようこさんの、ほっとするあたたかいイラストが加わって、
ページをめくるスピードもゆっくりとなり、一篇一篇、心に染み入ってきます。
「つたえたい美しい日本の詩(こころ)」シリーズの一冊として出版された本作。同シリーズには、金子みすゞさんや工藤直子さんの詩絵本も名を連ねています。
子どもと一緒に、そして、時にはひとりで、じっくりと味わってみてはいかがでしょうか。
(絵本ナビ編集部)
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