「あるひ ぼくはうまれた
きせきだ!
せかいには すうじゅうおくのひとが
いきているけど
このぼくは たったひとり!」
こんな一文から、はじまる絵本。
生まれた「ぼく」は、あかちゃんから少年になり、蝶々や毛虫を手にのせたり、棒を手にどんどん歩いたり、望遠鏡をのぞいたり……。
いろんなことができるようになります。
それは、「生きているかぎり学びつづける」ことであり、「人生という旅をつづけながらどっちへ進むか考え中」だったり「夢」を思うことだったり……。
ページをめくるたび、詩のようなまっすぐな言葉と、「人間」を擬人化したキャラクターである「ぼく」のびやかな水彩絵が目に飛び込んできます。
それぞれのページが心の扉をやさしくノックしているみたい。
本書は「人としてすこやかに生きること」を考える《I AM WELLNESS》というシリーズの1冊としてアメリカで出版され、ベストセラーになった邦訳です。
絵は『ちいさなあなたへ』『てん』でよく知られるピーター・レイノルズ。
新進気鋭の作家スーザン・ヴェルデの才能に惚れ込んだレイノルズが絵を描いたこのシリーズはアメリカで注目を集めているとか。
巻末にはヨガの先生でもあるヴェルデから読者へ、愛や思いやりで自らを大事にするための「エクササイズ」への誘いが書かれています。
親子や友達関係も、社会でも、常に順風満帆なんてことは決してありませんよね。
嫌な気持ちを持ったり、ひがんだり妬んだり……。
でも、本当は何が当たり前で、何が人間らしくて、恐さや不安に向き合うときに背中を押してくれるものは何なのか……。
考え方ひとつ、思いやりひとつでずいぶん違うような気がします。
“ぼくたちはにんげん。でも、だからこそまちがってしまう。
そんなとき、ぼくはきづくんだ。
にんげんだからこそ、「えらぶ」ことができるって。
かぞくやともだち、せかいじゅうのひとたち、そしてぼくじしんをおもいやるこころがあれば……”
本書をゆっくり声に出して読むことで、もしかしたら肩の力が抜けることもあるかもしれません。
日常のふとしたときや、眠る前のひととき、心を前向きにさせてくれる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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絵本のドリームチームがおくる 希望にみちた人間讃歌。
シリーズ累計100万部 世界的ベストセラー日本初上陸!
タイトルを見て、「なにをあたりまえのこと言ってるの?」と思われたかもしれません。でも、ほんとうにそれは「あたりまえ」のことでしょうか。「人間であること」「人間として生きること」とはどういうことなのか、こどもに訊かれて即答できるおとなは、はたしてどれくらいいるでしょう?
新進気鋭の書き手と売れっ子画家がタッグを組み、このきわめてシンプルでむずかしい問いに挑んだのが本書です。文章を書いたのは、マインドフルネスとヨガのインストラクターでもあるS・ヴェルデ。彼女の才能に惚れこみ、みずから絵を担当してその創作活動をもりたてるのが、世界的ベストセラー『てん』や『ちいさなあなたへ』で知られるP・レイノルズです。
本書では「人間性」を擬人化したキャラクターである「ぼく」が、ときに傷つきながら、ものごとをつねに思いやりと共感の視点からとらえなおすことで前進する様子が描かれます。ずばりと本質をつく簡明な文章と、絵の力強い描線・炸裂する色彩がみごとにマッチし、人として生きること、たがいにささえあうことの喜びと希望が高らかに謳いあげられます。いっぷう変わっているのが、巻末にかんたんな瞑想エクササイズのガイドがついていること。そのためかおとなにも大人気で、刊行されるや否や50万部を売り上げ、ニューヨーク・タイムズの週間ベストセラーリストで1位を獲得しました(2018年10月21日、「こども向け絵本」の部)。
なお、本書は「世界のなかで、人としてすこやかに生きること」の意味をこどもといっしょに考える絵本シリーズの2作目にあたります。ほかに「愛」「平和」「ヨガ」「行動」を主題とする4作が発表されており(すべて未邦訳)、世界中で幅広い年齢層の読者を獲得、各国語に翻訳され、シリーズ累計100万部を記録しています。さらに近々2作が刊行予定です。
史上最悪の厄災にみまわれ、縮こまってしまいがちないまこそ、ご家庭や施設で本書をひもとき、こころとからだをほぐしていただけたら幸いです。(しまづ・やよい)
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