「うしお」。力強く、堂々とした響きです。 うしおは幼稚園に通う男の子。豊かな自然、優しいかあさん、豪快なとうさんに囲まれてすくすく育っています。 名前の通り、きりりとした顔立ちのうしおの生活は本当に色彩豊か。紅葉で真っ赤に染まった山のふもとの幼稚園での様子、家に帰るまでの真っ暗になった山道、雪一色のグラウンド・・・。都会では手に入らない宝物の様な日々にうっとりしてしまいます。 好奇心旺盛なうしお、どうやら自分がかあさんから生まれてきた時の様子に興味津々の様子です。朝の楽しみは「うまれたごっこ」。かあさんのお腹の下にもぐりこんで「なんだかおなかがいたくなってきたわ」。夜にはとうさんが、ストーブの前でゆっくりとうしおが生まれる日の事を話始めるのです・・・。 うしおの家族の幸せと愛情に包まれた、本当に温かな絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
うおのあさのたのしみは うまれたごっこです。 めがさめると かあさんのおなかのしたに もぐりこみます。 すると かあしさんは 「なんだか おなかがいたくなってきたわ」 「まだまだ」 「もう ひとがんばり」 うしおにこえをかけます。
うしおくんは、毎朝お母さんと「うまれたごっご」をしたり、お父さんに自分が生まれた時の話を聞いたり、
自分が存在しているんだと実感が欲しいのでしょうか。
それとも、母親から生まれてきたんだと実感したいのでしょうか。
愛されている実感や、自分の存在や、目に見えない何かを感じることはむずかしいです。
でも、うしおくんはちゃんと方法を知っています。
力強い絵から、うしおくんの思いがあふれてきます。
うしおくんの思いをしっかりと受け止めてあげる両親も素敵です。
いろいろな悩みを持ち始める中学年に、読んであげるといいと思います。 (おるがんさん 40代・ママ 女の子、男の子)
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