福助はみた。はらはらと舞う、桜のはなびらを。
福助はみた。まっさおな空にのびる、まっしろい飛行機雲を。
赤い夕焼けを。ごみの山を。
どこまでもひろがる青い海を……。
車に運ばれるまま、鳥にさらわれるまま、波にもまれるまま。
何ともいえない表情でただ世界をみている福助……。
いったい何者?
そして福助の旅はどこへたどり着くのでしょうか……?
実は、福助は江戸時代に“幸福を招く”といわれ、人々の間で流行した福の神の人形。
縁起物として、昔懐かしい商店の棚や居間などにちょこんと座る福助を、見たことがある人もいるのではないでしょうか。
子どもの頃から福助人形が気になっていたという、おおなり修司さんが作ったのがこのおはなし。
絵は『だーるまさん だーるまさん』でタッグを組んだ、きむらよしおさん。
くりかえしが楽しく、ユーモアと哀愁漂う絵本に仕上がっています。
この福助のつぶらな瞳を目にすれば、あなたもきっとみつめてもらいたくなること間違いなし!?
素朴なタッチで描かれた絵に滲む優しさと、福助のおかしな表情に、ふっと心がほどけます。
最後のダジャレ(!?)にも笑っちゃう。
他にもおもしろいところを、親子で発見して楽しんでくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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