ゆうちゃん、いつもねたふりするの。
ねたふりしていると、いつもお母さんがふわって抱っこして、おふとんにいれてくれるの。
ゆうちゃんはそれがとってもきもちよくてうれしいの。
だからいろんなところでねたふりするの……。
阿部結さんが描く、小さな女の子の表情がとても愛らしい絵本。
椅子や階段の上、どこでもねたふりをする姿がおかしくて、微笑んでしまいます。
そうそう、ねたふりしてじーっとがまんしていると、ときどき笑っちゃいたくなることありますよね。
ゆうちゃんもそうなのね。
4歳の息子に読んで聞かせましたが、読んでいるうちに自分や子どもの幼い日の記憶と、肌のぬくもりが蘇ってきて……。
ちょっぴり泣きそうになったのは息子には秘密です。
そして抱っこしてくれると思っていたお母さんの腕のぬくもりが、なかなかおりてこないとき。
ゆうちゃんが不安でがまんできなくてうすーく目をあけてみたとき。
(この気持ちも、わかる、わかる)
さて、お母さんは何をしていたのでしょうか。
ぜひ楽しみに読んでみてくださいね。
登場するのはゆうちゃんとお母さんのふたりだけ。
親子の秘密めいた、とくべつな時間が流れます。
みんなでにぎやかに読むのもいいけれど、この絵本は、ひとりか、大切なひとと一緒にそっとしずかにめくりたい。
あたたかな木漏れ日の中、やさしい風が吹いてくるような絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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