「きいろいのは ちょうちょ」
だって、そうでしょ。どんなところにいたって、目に飛び込んでくる黄色くてフワフワしているものと言えば。ほら、ここにもきいろいの!
「…あれ、ちょうちょじゃない」
男の子が思いっきり振りおろした網の中から出てきたのは、黄色いお花。でもでも、やっぱり「きいろいのはちょうちょ」のはず。今度こそ!
「あれれ?」
きいろいのはちょうちょ、どうしたってちょうちょ…のはずなのに!?
ちょうちょを捕まえようと、網を持って追いかける男の子が主人公のこのお話。絵本の中に登場するのは、きいろくてフワフワして羽がふたつあって。読者だって思うのです。「あ、ちょうちょ見つけた!」ところが、ページをめくってみると…そこにいたはずのちょうちょが違うものに変わってる!きいろいけれど、ちょうちょじゃない。おかしいな、確かにいたと思ったのに…。
この繰り返しで進んでいくのですが、最大の魅力は「穴あきしかけ」になっているというところ。ちょうちょだと思っていたものは、じつは穴になっていて、めくれば全然違うものに変身している! 同じ色なのに、こんなものに!? 同じ形なのに、こんな見せ方があったか! パズル的な要素もあって、バツグンに楽しめるめくりしかけ絵本。
「ちょうちょだと思っているそれは、本当にちょうちょなのかな?」
絵本の中から、作者・五味太郎さんのいたずらっぽい声が聞こえてくるようですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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