やってきました今年も夏が!
うだる暑さにゃかき氷、降ってはやんでの大雨に、夜空を照らす、おおきな花火!
だけどやっぱり……日本の夏は、お化けの夏!
朝から気温はぐんぐん上がり、人もお化けもぐったりの暑さ。
それなのに、お化け屋敷には電気がないって……?
クーラーは!? 扇風機は!? もちろん、ありません。
あまりの暑さに、ろくろっ首の首は、のびっぱなし。
天狗も、鬼のを借りてパンツ一丁で涼んでいます。
ぬりかべに日陰を作ってもらったり、小豆とぎと小豆洗いがつくってくれた、特製の小豆入りかき氷を食べたり……
だけど、もうダメ! がまんできない!!
40度を超える暑さに、お化けたちは限界。
助けを求めたのは、天気をあやつるあのお化け──
一つ目小僧に一反木綿、からかさお化けにちょうちんお化け。
いろんなお化けが住んでるお化け屋敷では、今年も夏を越すために、あれやこれやと涼の工夫!
川端誠さんが描く、「お化け」シリーズ7作目です。
同シリーズのお化けたちも、もう何度、夏を超したことでしょう。
だけど日本の夏の暑さには、慣れるということがありません……。
とうとつな夕立と、稲光。
雨で冷まされた、土の香り。
そして夜空に咲く、花火。
そんな日本の夏の風景にも、やっぱり慣れることはなくて──
何度見ても、胸にしみます。
なんとも人間味あふれるお化けたちの、ユーモラスでいとおしい夏のワンシーン!
(堀井拓馬 小説家)
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