みんなの家にもあるよね、綿棒。白くて長くて、沢山入っていて。頭の先がちょっと膨らんでいて、顔になっていて……えっ!?
この綿棒たち、夜になるとぴょんと飛び出し、ぴょんこぴょんこと一斉にどこかへ向かう。台所を通って、部屋を横切り、開いている窓から外へ出る。白い列となってぴょんこぴょんこと飛ぶその姿の異様さときたら。
驚いている間にも、綿棒たちはぴょんこぴょんこ、隣の家からも、その隣の家からも、ぴょぴょぴょぴょん、ぴょんぴょん、白い列はスピードをあげ、さらに大きな塊となり、ぱららららーと飛び込んでいったのは……?
うひゃあ!いったい何が起こってるのでしょう。目の前で繰り広げられる見たことのない光景の連続に理解が追いつきません。思わずつばを飲み込みながら、なんとか絵本を読み進め、最後のページに行きついた頃にはほうっとため息をついて。なんでしょう、この気持ち。不思議と晴れ晴れとしているのです。
普段あまり目を向けないものを主人公にするのが好きだという、作者のかねこまきさん。確かに絵本デビュー作となる前作の主人公は「おざぶとん」。気になる作家さんですよね。
さて皆さんに言えることは、とりあえず綿棒の入れ物はふたをしっかり閉め、保管に気を付けてくださいね、ということ。逃げ出してしまうかもしれませんよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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