詩人・絵詞作家の内田麟太郎さんのやわらかく明るい言葉と、南塚直子さんの陶板画がぴったり! 春らしい色彩にあふれた陶板絵詩集です。
「なのはな」「さくら」という花の詩に始まり、「しんじる」「なみだ」という題名の、地球や虹を思わせる詩の世界が広がります。
「たんぽぽの そばに はとぽっぽが いたよ」と始まる詩「ぽぽ」は、音の響きから詩の命が生まれる、内田麟太郎さんお得意のもの。幼い子が笑顔になる詩がたくさん入っています。
5歳の息子と読んで「どれが好き?」と聞くと「ぜんぶ!」という答え。中でも面白がっていたのは「キリン」で、キリンが雲を食べる陶板絵に「こんな絵、初めて見た」とじっと見入っていました。
手で触れたくなるような、陶板ならではの立体感とつややかな光りが、こんなにも愛らしく感じられるのかと驚きます。南塚直子さんの作品には、独特のあどけないような貴い美しさが宿っていましたが、陶板画はさらに親しみやすい可愛さが加わったような気がします。(元々ハンガリー国立美術大学で銅版画を学んだ南塚さんですが、2013年に改めて京都嵯峨芸術大学の陶芸科に入学、陶板画を学んだそうです)
ところで南塚さんは、1998年日本絵本賞を受賞したまどみちおさんの絵詩集『キリンさん』や『たんぽぽヘリコプター』(共に、小峰書店)に絵を描いています。本作は、まどみちおさんの詩を敬愛する内田麟太郎さんにとっても、きっと、ひときわ嬉しい絵詩集刊行にちがいありません。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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