昔、あるところに、テピンギーという女の子がいました。テピンギーのお母さんはなくなって、意地悪な新しい母親とふたりぐらし。この母親は、テピンギーが学校に行っている間に、知らないおじさんに、テピンギーを召使いとしてあげる約束をしてしまうのです。なんて可哀そうなテピンギー。
ところが、この話をこっそり聞いていたテピンギー。このまま大人しくしているわけにはいきません。友達の家をまわり、明日は赤い服を着てくるようにお願いするのです。なぜなら……。
テピンギーのひらめきと、友達みんなの助けで困難を軽々と乗り越えていってしまうこのお話は、ハイチに伝わる昔話です。
「わたしがテピンギー」「わたしもテピンギー」
「わたしたちもテピンギー!」
そう言って、怖いおじさんを見事に退散させてしまう女の子たちの魅力的なこと。自分たちで考え、知恵をしぼり、協力をしながら、自らの手で幸せな暮らしを手にしていく姿は、読んでいるだけでも力がわいてくるようです。
これまで知られてこなかった、決して控えめだけでは終わらない女の子の主人公が活躍するお話を集めた「女の子の昔話えほん」シリーズ。どのお話もそれぞれ個性的ですが、真っ赤なワンピースが印象的なこのお話には、あずみ虫さんの、金属板を使って表現する明るく明快な絵がぴったりですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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テピンギーは、おかあさんがなくなって、あたらしい母親とくらしている女の子。
ある日、知らないおじいさんの召使いにされそうになりますが、
友達の家をまわって、あることを頼みます。
ハイチにつたわる、すてきなひらめきと友達の助けで困難をのりこえた女の子の昔話が絵本になりました。
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むかし、あるところに、
テピンギーという おんなのこが いました。
テピンギーのおかあさんは なくなって、
あたらしい母親が やってきました。
それから、おとうさんも なくなったので、
テピンギーは あたらしい母親と ふたりぐらしになりました。
このははおやは いじわるで、
テピンギーには なにも わけてやりたくないと おもっていました。
(本文より)
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女の子の昔話えほんシリーズについて
あなたが知っている昔話の主人公は、男性が多いのではないでしょうか。女性が主人公の場合も、ひかえめでおとなしい女性ではないでしょうか。絵本になるのはそういう昔話が多いのですが、語りつたえられてきた昔話はもっと豊かで、へこたれずに自分なりの幸せをつかむ、いろんな女性たちが登場します。これまで知られてこなかった、そんな主人公の昔話を絵本にして、これからの世界を生きるこどもたちに贈ります。
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