真っ赤なテントウムシが、産卵場所を探して飛び立ちます。ところが小枝そっくりのナナフシに追い払われたり、バラの木のトゲみたいなトゲツノゼミたちにつつかれたり。「こんどこそ、さいこうのばしょを」と思ったら……葉っぱじゃなくキリギリス!!
風変わりな虫に次々場所を追われながら「じっくりさがしましょ」「あせっちゃだめ!」とテントウムシの旅は続きます。
イザベル・シムレールによる、画集のような見ごたえがありながら、昆虫の“擬態”が描かれる、まさにアートな〈だまし絵〉絵本。どの虫も見事に木々や枝葉にまぎれていてびっくりです。個人的には“ついにテントウムシが産卵場所を見つけた”と思ったらさらにあと一回擬態シーンがあり、ダメ押しでだまされました!
道ばたで目にすれば、指先にちょこんと乗るほどの、小さなテントウムシ。それがシムレールさんの手にかかると、魔法がかけられたようにダイナミックで躍動感ある存在に。自然界って、生き物って、おもしろくて美しい!
巻末にはナナホシテントウの拡大図・解説と、登場した虫のミニ解説付き。昆虫や自然の好きなお子さんにおすすめ。
部屋に飾りたくなるような大判絵本なので、美しい自然を描いた絵本が好きな大人にも。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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